夏の涼味
トマト


食味旬味ワンポイントアドバイス

日本で一番多く食べられている野菜はトマト(平成11年)だってご存知でしたか?

イギリスに「トマトが赤くなると医者が青くなる」というたとえがありますように、トマトはとても栄養に富んだ野菜です。
また、1年を通して食卓になじみ深い食材ですが旬といえばやはり夏です。

ところが、市場の八百屋さんに聞いてみますと意外なことがわかりました。
プロのすすめるおいしさいっぱいのトマトの耳寄り情報です。


トマトの栄養

ビタミンが豊富で栄養価は高く、ガンや心臓病、高血圧、老化予防に効果のある「リコピン」という色素を大量に含むことで、今最も注目されている野菜です。
トマトの赤い色は「リコピン」そのもの。
熱に強く、炒めたり煮込んでも栄養価は変わらないのが特長です。

日本では「桃太郎」といった生食用のピンク系の品種が主流ですが、世界的には赤系トマトを加熱料理に使うのが一般的です。
リコピン含有量は赤系のほうが多いです。


市場のプロの薦める一番おいしいトマトって?

おいしいトマトその1 おいしいトマト=水切りトマト?

トマトの原産地であるアンデス高原は、太陽の光がさんさんと降りそそぐカラリと乾燥した風土です。
この環境に近づけて栽培すると「おいしいトマト」ができるのでは?ということで、日本でもハウス栽培で雨を防ぎ、水の与え方をコントロールしながら、果実を大きくせずに糖を蓄えさせる栽培が行われるようになりました。
これが「水切りトマト」です。

皮が硬くならないようにする技術が難しいそうですが、甘味の濃いおいしいトマトができます。
この栽培方法の代表は「フルーツトマト」ですが、最近、他の品種を水切り栽培することでおいしくする技術が普及し、「水切りトマト」として店頭に並ぶようになりました。
収穫は11月から7月初旬まで。
2~3月の「一番なり」が最もおいしいそうです。

おいしいトマトその2 おいしさをつくるのは生産地や品種ではなくて生産者!

路地ものの旬は7~8月ですが、本当においしいのは梅雨前の4~6月だとか。
理由は、梅雨に入り空気中の湿気を吸うと味が薄くなるからです。

それでも、自然の恵みをたっぷりと受けた旬のトマトのさわやかな風味は格別です。
桃太郎、ファーストトマト、レアトマト、ミニトマトなどよく聞く名前も含めてトマトの種類は生食用、加熱用、加工用と1万種とも言われています。
桃太郎をフルーツトマト以上に甘く栽培する生産者もいますから、同じ産地と品種でも作り手によっておいしさは異なるということですね。

どこの産地かよりも、誰が生産したか?にこだわって仕入れるのが市場のプロの目利きなのです。


おいしいトマトはどこから仕入れるの?

神戸市中央卸売市場で仕入れる店、あるいは中央市場の「場外」で信頼できる有機栽培のトマトを安く仕入れる店、または個人契約で神戸市西区の農家から入れている店など仕入れルートは様々です。
共通して言えることは、どのルートも生産者の顔の見える納得した商品しか仕入れないということ。
自分の子どもに食べさせられる野菜をつくる生産者の商品しか仕入れない店もあります。

また、中央市場で仕入れる場合は、「この野菜はこの生産者のものが一番おいしくて、かつ安全である」という長年のデータが頭のなかに蓄積されていますから、「毎朝、目当ての生産者ナンバーをいち早く見つけて、大手スーパーが引く前に買い付ける」のです。
もちろん、減農薬栽培農産物ガイドラインに満たない野菜など「納得できない野菜」は絶対に仕入れません。

市場の八百屋さんの「おいしいよー」という声を信じてくださいね。
その商品こそが、その日本当においしい野菜なんです。


おいしいトマトの選びかた トマトの色、頭の星、重さで選ぶ!

一般的には、ずっしりと重く、赤色が深く濃いものがおいしいと言われています。
へたの葉が青いものは新鮮ですし、トマトの頭のてっぺんに「スター(星)マーク」のあるものがおいしいという目利きもあります。
また、前にテレビで紹介されました「水につけて沈むトマトがおいしい」という見分け方は、八百屋さんに言わせればナンセンス!
良いトマトはどれも沈むもの。
中が空洞の「風船」トマトはもってのほかだそうです。


おいしく食す前の下ごしらえ

超簡単!湯むき

トマトのへたにフォークを刺して、熱湯に10秒つけてから冷水に取って皮をむくとあら不思議!簡単に皮がむけます。


おいしい食しかたNO.1 は 丸かじり!

これは料理ではありませんが、生食系のピンク品種が主流の日本では、生をそのまま丸かじりして、ヘタだけ残すという食べ方が一番おいしい食し方です。

おいしく食べるには冷やしすぎが禁物です!
常温に置いておいて、いただく1時間くらい前に冷水につけて冷やすくらいが、甘味と酸味のバランスがとれて最もおいしいのです。
くれぐれも冷蔵庫での保管にはご注意くださいね。


おいしいトマトサラダ

〔材料〕2人分

トマト 2個
玉ねぎのみじん切り 4枚
レモンの薄切り 5枚
パセリ 適量
サラダ油 大さじ1
レモン汁 1/2個分
大さじ1
砂糖 小さじ1/2
小さじ1/6
  1. トマトは皮を湯むきして5mm厚さの輪切りにする。
  2. 玉ねぎはみじん切りにして、水にさらしてから布巾に包んで水を絞っておく。
  3. サラダ菜とレモン、トマトを盛り付けた上に、玉ねぎのみじん切りとドレッシング(レモン汁、酢、砂糖、塩、サラダ油)をかけて、冷蔵庫で10分ほど冷やしてからいただく。

牛肉入り健康完熟トマトスープ

〔材料〕2人分

牛かたまり肉 200g
玉ねぎ・にんじん 1/2個
セロリ 1/2本
じゃがいも 1個
グリーンピース 100g
オリーブ油 適量
ブイヨン 5カップ
小さじ1
こしょう 少々
  1. 湯むきした完熟トマトは種をとって1cm角に切る。
  2. 牛かたまり肉、玉ねぎ、にんじん、セロリ、じゃがいもは1cm角に切りそろえる。
  3. 牛かたまり肉は塩・こしょうをしておく。
  4. グリーンピースはさっとゆでておく。       
  5. オリーブ油を熱して、牛肉、玉ねぎ、にんじん、セロリ、じゃがいもを炒める。
  6. 牛肉の色が変われば、ブイヨンと完熟トマトを入れて、アクを取りながら材料に火が通るまで煮込む。
  7. グリーンピースを加えて、塩・こしょうで味をととのえてできあがり!

トマトのオリーブオイル焼き

薄切りにしたトマトをオリーブオイルで焼いて、バジルをかけていただく。


今回取材した市場の店舗

ハートフルみなとがわ(兵庫区)有限会社大西青果 郡 美恵子さん

作家の灰谷健次郎さんも立ち寄る八百屋さん。
現在はハートフルみなとがわの中に店を構えるが、震災前は路面店舗で「坂の上の八百屋さん」として親しまれていた。
戦後すぐの開業で、現在は2代目。料亭や割烹料理店で使う珍しい食材も扱う。
松茸に自信あり!

ミナイチ(兵庫区)上野商店 上野 利高さん

八百屋歴22年の1代目のご主人が、ミナイチの西入り口の角に立って呼び声をならす。
「こだわりを捨てずに売り続けていたら、本当によく売れるようになってきた」。
伊川谷や芦屋からわざわざトマトを買いに来てくれるのが何よりうれしい。
料理レシピの宝庫。野菜をおいしく食べる方法なら任せて!

ミナイチ(兵庫区)ミヤツジ 宮辻 英治さん

平成元年、老舗の八百屋店の多い激戦地湊川で開業。
ご主人は大学で微生物を専攻。
検疫官になりたかったが八百屋に。
安心して食べられる野菜を安く売るのがポリシー。
日本人は日本の土から収穫された野菜を食べるのが一番健康によいという信念から、輸入物は冬場のカボチャと松茸しかおかないそう。