小売市場からの”食味旬味”便り
走り旬名残り

本物の食材のおいしい食しかた

今回の食材は

秋刀魚の画像

秋の醍醐味
秋刀魚(サンマ)

食味旬味ワンポイント情報

『目黒の秋刀魚』という江戸落語にあるように、江戸時代も今もサンマは庶民の味ですね。
季節感の乏しい現代は、「サンマ」といっても年中売られていて、本当においしいサンマを見分けるのがかえって難しいと思いませんか?
そこで、市場の職人さん直伝の”おいしいサンマ情報”をまとめてみました。

サンマの生態

「根室のさんま」 って

サンマといえば「根室」と言われています。 その理由はサンマの生態にあります。

サンマは日本の沖合いからアメリカ沖まで、亜熱帯から亜寒帯にかけて広範囲な北太平洋に分布する魚です。
日本が漁獲するサンマは黒潮周辺の海域で生まれ、成長とともに北上し、夏の初めに親潮水域に移動し餌を求めて回遊します。
サンマは冷たい親潮の中で栄養をたっぷりとって、脂肪をつけながら太り、産卵や南下回遊のためのエネルギーを貯えます。

そして8月の上旬あたりから、千島列島の沖合いから親潮の動きに沿って根室沖、三陸沖、房総へと南下していきます。
つまり8、9月の根室沖で獲れるさんまが一番脂がのって美味しいのです。

サンマの栄養

動脈硬化・老化防止にピッタリ

「サンマが出ると、アンマがひっこむ」という諺があるように、昔からサンマを食べると元気になると言われています。
主成分の蛋白質は栄養価が高く、ビタミンA、B2、D、E、カルシウム、鉄分なども豊富です。

青背の魚の脂肪は、動脈硬化を防ぐと言われている「不飽和脂肪酸」という脂肪です。

中でも、サンマ・イワシ・サバは、血中コレステロールを下げる働きが強く、血栓をできにくくするとして注目を集めている「EPA(エイコサペンタエン酸)」や「DHA(ドコサヘキサエン酸)」を多く含みます。

また、サンマなどの赤身肉に多く含まれているアミノ酸の一つ「タウリン」は、血中コレステロールを低下させることがわかってきました。
このタウリンは、動脈硬化予防、コレステロール系の胆石の溶解、血圧正常化、視力の衰えを防ぐなどの働きがあることも確かめらています。

まさにサンマは「健康づくりの魚」ですね。これは食べなきゃ!

おいしい生産地情報

ズバリ!「走り」の8月末 根室厚岸(あっけし)産

8月末に獲れた北海道根室のサンマが一番おいしい!

市場には、根室・厚岸(あっけし)産の箱が積み重ねられ、中にはよく肥え、キラキラ光るサンマが入っていました。

4kg入りの箱には18~21尾入っているとのこと。出始めは、値段が高いのですが、味は保障つきです。

サンマの生産地(漁場)
8月~10月 根室沖 根室・花崎港
10月~11月 三陸沖
12月 銚子沖
秋刀魚の画像

新物でおいしく食べられる「名残り」は10月いっぱいと思ったほうがよいそうです。市場で販売しているサンマの入荷は宮古で終わりです。

晩秋に銚子沖で取れた新物のサンマよりも、その年の「走り」に北海道で獲れた最も脂ののったサンマを冷凍したもの(「囲いもの」と呼ぶそうです)のほうがおいしいとも言われています。

また、「囲いもの」と言われるサンマはおいしい「塩サンマ」にもなります。
サンマに限っては冷凍物もおいしいから、やりくり上手な主婦の強い味方ですね。

おいしいサンマの選び方

口先や尾の付け根が黄色いもの

魚は共通して、良く太っていて色艶がきれいなものがおいしいです。

おいしいサンマ
その1 腹が丸く盛り上がり、出っ張りの大きいもの
大きいサンマほど身も肝もおいしい
その2 尾の付け根が黄色いもの(栄養状態が良い)
その3 メスがおいしい
[見分け方]
オス:下あごがオレンジ色で、とがっている
メス:下あごがオリーブ色(黄色っぽい)で、丸い
その4 できるだけ傷の少ないもの
大きなサンマは、商品価値が高く丁寧に扱われるので傷が少ない
秋刀魚の画像

サンマ 豆情報

たくさんウロコのついた魚は新鮮です。
でも、サンマってウロコが余り付いていませんよね!

理由は、サンマは網で捕るのであばれてウロコが取れてしまうからなんだそうです。

サンマのお値段

やっぱり庶民の食材

「昔サンマは安かった、、、」のですが、国内の漁獲量の減少に伴い価格は上がっています。

今年は試験操業時から大ぶりのサンマが水揚げされ、しかも出始めの小売価格が1匹500円でした。
この価格は例年にない安さ。
入荷も順調で今年こそサンマの食べどきです。

参考までに、9月3日、取材した市場での小売価格は 1尾 350円~250円でした。

スーパーで年中売られている極端に安価なものは、昨年の冷凍物だそうですから気をつけましょう。

おいしい下ごしらえ

プロの包丁さばきです。

丸くよく肥えたサンマは肝もおいしいと言われていますが、塩焼きの場合、肝を取り除くかどうかはお好みです。

購入するときに「お腹とって!」と言えば、きれいにそうじしてくれますよ。

秋刀魚プロの包丁さばきの画像

刺身で食べるなら小骨を丁寧に取り除きましょう。

サンマは特に小骨が多いので、時間のない人こそ市場で買って、そのままお刺身にしてもらうのがベストです

秋刀魚プロの包丁さばきの画像

脂がのって ホントおいしそう・・・

お刺身はこの状態までしてくれます。
ラクチン ラクチン!!

秋刀魚プロの包丁さばきの画像

必見!市場お勧め
サンマのおいしい食し方

塩焼き

仕事で疲れたお父さんをうならせる旨い焼き方

〔材料〕4人分
サンマ 4尾
適量
レモン・すだち 適量
おろしだいこん 適量

プロのアドバイス

  • コツその1強火で焼く
    • 火が強すぎると脂がぬけてパサパサに。
      また、弱いと生臭くなる(皮下脂肪の多い魚だから)。
      サンマは、『焼き加減』がむずかしいのです。
  • コツその2煙で焼く
    • 解決法は、強火で煙を上げること!
      煙を表皮に絡ませ、燻蒸させて焼くとおいしい。
      よって、炭火(七輪)で焼くのは理にかなっている。
      サンマを2つに切り分ける。
      塩は強めにかけてしばらく置く。
      金串にさして焼く。

◆ 煙を立てられないお家も多いはず。そんな場合は、フライパンにサラダ油をひいて焼いても、良い素材ですと十分おいしくいただけます。

◆ 塩焼き以外の調理法にチャレンジ!これまでにないおいしさに出会えます。 刺身よし、蒲焼よし、竜田揚げもよし! 
油で揚げると煙も出ないし、洋風仕立てにすると塩焼きの苦手な子供も大喜び!
お魚料理のレパートリーを広げてみませんか?

サンマの刺身

恥ずかしながら盛り付けただけ でも最高においしい!!

〔材料〕4人分
サンマ(生食用) 2尾
おろししょうが お好み
レモン・すだち お好み
おろしにんにく お好み
サンマの刺身の画像

サンマは三枚におろす。尾の方を左、皮肌を下にしてまな板に置き、尾先の身と皮の間に包丁を入れて皮を引き、食べよい大きさに切る。
塩抜きした海藻と穂じそをあしらって盛り、おろししょうがと醤油でいただく。レモンやすだちも美味。または、好みでにんにくのすりおろしを添える。

プロのアドバイス

必ず小骨を取り除くように。面倒な場合は刺身用に調理してもらうと良い。

サンマ丼

忙しい市場のおかみさん直伝 超簡単料理

〔材料〕4人分
サンマ 4尾
サラダ油・コーン油 少々
しょうゆ 適量
しょうが 少々

サンマは3枚におろす。
サラダ油とコーン油で焼く。
しょうがじょうゆをからめる。
熱いご飯のうえにサンマをのせて、3のたれをかけてどんぶりに。

プロのアドバイス

うなぎ丼よりずっと安上がりでおいしい! あっさり好みの人は、たれで煮る前にサンマをさっと湯通しするとよい。

サンマの煮付け

お弁当のおかずにもぴったり!

〔材料〕4人分
サンマ 4尾
酒、しょうゆ 各大4
しょうが 20g
砂糖 大1
サンマの煮付けの画像

サンマは頭を取り、3cmほどの筒切りにし、内臓を抜き取る。
生姜は千切りにする。
鍋に水2カップと調味料を煮立て、生姜をしき、さんまを並べて落し蓋をして、中火で煮汁がひたひたになるまで煮る。

プロのアドバイス

「いわしのしょうが煮」と同じ作り方。調味料はご家庭の味でどうぞ。